イオン伝導ガラスの熱起電力の測定

温度勾配を駆動力とした物質の拡散現象をソレー効果と呼びますが、ソレー効果は固体中でも起こります。
ソレー効果によって、固体中のカチオンとアニオンの電荷バランスがマクロに崩れると、起電力が発生します。
一般にゼーベック効果は電子をキャリアとした熱起電力の発生を意味しますが、上述のようなソレー効果によって発現する
イオン性のゼーベック効果も存在します。
近年イオン性のゼーベック効果を利用して、電気エネルギーを取り出す手法が開発されてます。
我々は、ガラス工学分野において未だ系統立った測定がなされていない非平衡現象として、熱起電力に着目しています。
結晶に比べて自由体積が大きいガラスの中でも特に、イオンの移動速度の速いイオン伝導ガラスにおいて、
ソレー効果由来の熱起電力(=イオン性のゼーベック効果による熱起電力)の絶対値の大きさと符号を決める因子、および結晶との違い、
を明らかにすべく研究しています。